プレアピールの効果的な使い方

プレアピール・ブリーフ・レビュー・リクエスト(Pre-Appeal Brief Request for Review)試行プログラムが開始されてから、もうすぐ16年になります。出願人の皆様は、このプログラムの効果的な活用方法をご存じかと思いますが、使い方を忘れてしまった、という方もいるかもしれませんので、ここに説明します。

プログラムの目的は、(1)事実誤認に基づく明らかに不適切な拒絶を特定すること、(2)一応の拒絶(prima facie rejection)の要件の不備を特定することです。庁通達(2005年7月12日) 米国特許商標庁(USPTO)では、この種の特定の拒絶を一般的な「先行技術の記載やクレーム範囲の解釈など、根拠事実の欠如を理由とする反論」と区別しています。同上。

プレアピール・ブリーフプログラムが活用できる拒絶はどのようなものでしょう。例えば、出願人による有効出願日よりも前の有効出願日を有さない公報での拒絶は明らかに不適切です。そのような公報は、出願人のクレームに対する拒絶の理由(要するに先行技術)として使用できないでしょう。

また庁通達によれば、「審査官が自明性拒絶において組み合わせの適切な動機付けを示さなかった」ことも本プログラムに該当する具体例としてあげられています。同上。ここで強調されているのは、審査官が示した動機付けに説得力があったかどうかではなく、動機付けが省略されたこと(すなわち「明記されなかった」こと)です。

庁通達には、本プログラムに適した別の例として「クレームの限定が引用文献と合致していない」ことがあげられています。このプレアピール・ブリーフプログラムは「先行技術の記載有無やクレーム範囲の解釈」を扱うものではありません。したがって、「クレーム限定が引用文献と合致していない」とは、審査官が限定を考慮しなかったことを意味しています。別の可能性として、MPEP2112に基づく「先行技術に内在しない限定」があげられています。

プレアピールに関するUSPTOの決定は、4つの項目のチェックボックスのいずれかにチェックすることに限定されます。4つの項目の1つは、要件を満たしていないことです。これらの要件は手続き的なもので、例えば総ページ数に関するものです。この要件は、プレアピール・ブリーフの内容が適切かどうかとは関係がありません。

また、出願人が「(ある認定について)根拠事実を欠く」とプレアピールを提出しても、単に「審判で争うべき争点が少なくとも1つある」と判断されることでしょう。以前は、USPTOではこのようなプレアピールの利点が考慮されることが多かったようですが、最近、特にAFC2.0プログラム(After-Final Consideration Pilot 2.0 Program)が導入されてからは、USPTOではこのプログラムの趣旨を厳格に遵守するようになったようです。

このように、プレアピール・ブリーフプログラムを効果的に利用しなかったことで、出願人に不要なサービス料がかかり、アピール・ブリーフ(審判理由補充書)の提出期間も短くなってしまいます。

出願人がオフィスアクション(OA)に応答する際にプレアピール・ブリーフプログラムを利用すべきかどうかについて、モダル(Modal PLLC)がお手伝いできることがあれば、ご連絡ください。

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