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審査官の経験値

審査官の経験値に関するご質問をいただくことが少なくありません。案件担当の審査官の序列について出願人が知るためにはどうすればよいでしょう。 まず、「部分署名権限(partial signatory authority)」を持っている、もしくは主任審査官(Primary Examiner)である、という場合に、審査官に実績があると言えます。非常に経験豊富な審査官であっても、これらの立場を有していない場合があります。 また、審査官の実績は、審査官に直接尋ねる以外に知り得る方法がほとんどありません。しかし、審査官に直接尋ねると、答えてくれることがほとんどです。審査官が単独でインタビューを実施できるか、といった特定の業務の可否にこの質問が直接関係するため、インタビューの日程を決める際には確認しておくのが得策です。(審査官は通常、米国特許商標庁(USPTO)での勤務年数についての質問にも答えてくれますが、勤務年数の質問はあまり意味がなく、失礼に響く可能性があります。) 特定の手続きには主任審査官(Primary Examiner)の関与が必要となるため、審査官が主任審査官であるかどうかがオフィスアクションに明示されるのが一般的です。例:MPEP1004参照 そこで、主任審査官という肩書を署名に加えています。 /Shinji Ikari/主任審査官(Primary Examiner) 主任審査官との肩書きがあると、信頼性が高まるのが一般的です。したがって、主任審査官であれば、署名欄に明記する(「主任審査官(Primary Examiner)」と書く)のが通例です。 そこで、明記がなければ、業績は不明と言えます。 例えば、新任審査官の中には、オフィスアクションの署名欄にイニシャルのみを記す人もいます。この場合の署名は、審査長(SPE:Supervisory Patent Examiner)または主任審査官(Primary Examiner)の署名が追加されます。 /S. I./特許審査官/Gendo Ikari/審査長(Supervisory Patent Examiner) これらの審査官は経験が浅く、「部分署名権限(partial… Read More »審査官の経験値

試行プログラム「DSMER」に思うこと

米国特許商標庁(USPTO)では、発明適格性に対する応答を遅らせることができる試行プログラム(DSMER:Deferred Subject Matter Eligibility Response)が最近開始されました。本プログラムは、2022年7月30日に終了する予定です。

本プログラムの効果は限定的とも思われ、また、一部否定的な側面もあります。

まず、米国特許法101条に基づく発明適格性の拒絶と他の理拒絶由(例えば自明性)による拒絶の両方が出された出願のみ、本プログラムの対象となります。このプログラムの利用により、(a)「最終処分」まで、または(b)発明適格性に関する拒絶だけが残る段階まで、出願人は発明適格性の拒絶の応答を先送りすることができます。

ここで「最終処分」とはファイナルOAが該当するので要注意です。そのため、出願人は、1回のオフィスアクションに対してのみ発明適格性による拒絶の応答を先送りできるのが通例です。

つまり、ノンファイナルOAに対する応答の段階では発明適格性拒絶に応答しなくてよいことがこのプログラムの利点となります。したがって、プログラムへの参加要請を含むノンファイナルOAを受けた場合に、出願人は、(a)発明適格性に関する拒絶の応答を遅らせない、(b)発明適格性に関する拒絶への応答を一部遅らせる、(c)発明適格性に関する拒絶への応答を完全に遅らせる、という3つの方法から選択できます。

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プレアピールの効果的な使い方

プレアピール・ブリーフ・レビュー・リクエスト(Pre-Appeal Brief Request for Review)試行プログラムが開始されてから、もうすぐ16年になります。出願人の皆様は、このプログラムの効果的な活用方法をご存じかと思いますが、使い方を忘れてしまった、という方もいるかもしれませんので、ここに説明します。

プログラムの目的は、(1)事実誤認に基づく明らかに不適切な拒絶を特定すること、(2)一応の拒絶(prima facie rejection)の要件の不備を特定することです。庁通達(2005年7月12日) 米国特許商標庁(USPTO)では、この種の特定の拒絶を一般的な「先行技術の記載やクレーム範囲の解釈など、根拠事実の欠如を理由とする反論」と区別しています。同上。

プレアピール・ブリーフプログラムが活用できる拒絶はどのようなものでしょう。例えば、出願人による有効出願日よりも前の有効出願日を有さない公報での拒絶は明らかに不適切です。そのような公報は、出願人のクレームに対する拒絶の理由(要するに先行技術)として使用できないでしょう。

また庁通達によれば、「審査官が自明性拒絶において組み合わせの適切な動機付けを示さなかった」ことも本プログラムに該当する具体例としてあげられています。同上。ここで強調されているのは、審査官が示した動機付けに説得力があったかどうかではなく、動機付けが省略されたこと(すなわち「明記されなかった」こと)です。

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